プラレール 60年以上の歴史と進化する鉄道玩具
1959年の誕生から65年以上にわたり、世代を超えて愛され続ける日本を代表する鉄道玩具「プラレール」。青いレールと3両編成の電動車両という基本構成は変わらず、その普遍的な魅力と高い拡張性で日本の鉄道玩具市場において確固たる地位を築いています。このサイトではプラレールの誕生から現在、そして未来までの軌跡をご紹介します。
プラレールの誕生と開発の歴史
1
1958年
タカラトミーの前身である富山玩具製作所が「ハイウェーセット」を発売。青いレールと手転がしの木製ミニカーのセットがプラレールの原点となります。
2
1959年
「プラスチック汽車・レールセット」が登場。ちゃぶ台の上で遊べるよう直径47cmの円形コースとして設計されたこの製品が、プラレールの原型となりました。
3
1961年
電動式の「電動プラ汽車セット」発売。単2乾電池1本で動く3両編成の電車が誕生し、現在のプラレールの基本仕様が確立されました。
4
1964年
東海道新幹線開業を記念して「超特急ひかり号セット」を発売。実在する鉄道車両をモデルにした商品の先駆けとなりました。
創業者の富山栄市郎は「流行に左右されない、息の長い玩具」を目指し、海外の展示会で見たプラスチック製鉄道玩具や、子供たちが木片をつなげて遊ぶ様子から着想を得てプラレールを開発しました。この「普遍的な遊び」を追求するビジョンが、60年以上続くロングセラー商品の基盤となっています。
長年愛され続ける理由
安全性と手軽さ
丈夫で安全なプラスチック製で、小さな子供でも安心して遊べます。レールの組み立ても簡単で、子供たちが直感的に扱える設計になっています。
高い拡張性
レールや情景部品、車両を買い足していくことで、遊びの世界を無限に広げられます。子供の成長に合わせてステップアップできる点が魅力です。
再現性と創造性
実在する人気の新幹線や特急列車をモデルにしつつ、自由にコースを組むことで子供たちの創造力や空間認識能力を育みます。
統一規格の維持
発売当初からレールの規格が基本的に変わっていないため、昔のレールと今のレールを繋げて遊ぶことができ、親子三代で楽しめる玩具となっています。
曲線レールの直径は「当時、家族が団らんの時をすごしたちゃぶ台の上で遊べるサイズ」として設計され、この規格は60年以上経った現在でも変わらず、互換性を保っています。また、「きかんしゃトーマス」などの人気キャラクターとのコラボレーションも人気の一因です。
象徴的な青いレールの秘密
視覚的な識別性
青は子供にとって鮮やかで目立つ色であり、床やカーペット上でレールが見つけやすいように設計されました。タカラトミーの担当者によると、おもちゃ売り場の蛍光灯下で複数色のサンプルを比較した結果、最も見栄えが良かった色が青だったと言われています。
ブランドの象徴
青いレールはプラレールのシンボルとなり、競合商品との差別化に貢献しています。65周年記念ロゴでも青いレールが「65」を形作るデザインに使われるなど、ブランドアイデンティティの一部となり、2015年には日本の商標として登録されました。
遊び心の強調
実際の線路の色(茶色や灰色)とは異なる「おもちゃの色」として、あえて青を選ぶことで「玩具らしさ」を強調し、子供の想像力を刺激する意図があったと考えられています。この特徴的な色彩が、プラレールの世界観を形作る重要な要素となっています。
鉄道会社との協力体制
車両デザイン協力
新しい車両の製品化には、鉄道会社による図面提供やデザイン監修が行われます
ライセンス契約
実在する鉄道車両をモデルにするため、各鉄道会社との許諾契約を結んでいます
共同イベント開催
「プラレール博」や「京急ファミリー鉄道フェスタ」などのイベントを共同で開催
教育・訓練への活用
JR東海や東京メトロなどで運転士の研修にプラレールが実務訓練として導入されています
鉄道会社側もプラレールを通じて子供たちに鉄道への興味を持ってもらうというメリットを感じており、相互にとって有益な協力関係が築かれています。イベントでは限定プラレール車両が販売されるなど、密接な連携が見られます。また、プラレールが単なる玩具を超えた実用的なツールとして鉄道会社の訓練現場で活用されていることは、その精度と実用性の高さを示しています。
多様なシリーズ展開と進化
プラレールアドバンス
2011年に登場したよりリアルな鉄道模型に近いシリーズ。従来の青いレールを複線として使用し、スリムでリアルなデザインの車両が特徴でした。プラレールで育った世代が大人になり、よりリアルなものを求める声に応えて開発されました。グッドデザイン賞も受賞しましたが、数年で展開を終了しています。
カプセルプラレール
1999年に登場したガチャポン(カプセルトイ)として展開されるシリーズ。小さくデフォルメされたプラレール車両とミニレール、情景部品がカプセルに入っています。子供が少ないお小遣いで楽しめるように設計され、コレクター層にも支持される人気シリーズとなっています。
プラレールモノレール
高架を走る未来的な乗り物としてのモノレールをプラレールで再現したシリーズ。専用のレールと橋脚を使用し、車体もモノレール特有の形状をしています。東京モノレールやディズニーリゾートラインのモデルが特に人気で、レイアウトに高低差と変化をつけられる魅力があります。
キャラクターコラボ
「きかんしゃトーマス」シリーズは1992年から始まり、絶大な人気を誇ります。また、「シンカリオン」は新幹線がロボットに変形するという斬新なコンセプトでアニメ化され大ヒットしました。これらのコラボレーションはプラレールに新たな顧客層を呼び込む重要な役割を果たしています。
海外展開と国際的な評価
プラレールは1960年代から輸出が始まり、アジアやヨーロッパ、北米などで「TOMICA World」や「Tomy Trains」といった名称で展開されてきました。特に香港やシンガポールを中心にアジア市場で人気を得ており、台湾では現地車両をモデルにした商品が好評で一大市場となっています。
欧米圏ではBRIO(木製鉄道玩具)やLEGOトレインなど独自の強力な鉄道玩具ブランドが存在するため日本ほどの圧倒的なシェアはありませんが、「きかんしゃトーマス」関連商品を通じてプラレールベースの製品も親しまれています。海外では日本の新幹線が「エキゾチック」な存在として受け入れられており、特に新幹線をモデルにした車両が人気を集めています。
未来へ走り続けるプラレール

サステナビリティの推進
環境配慮型素材の導入拡大とパッケージの簡素化
デジタル技術との融合
AR技術やIoT連携による新しい遊び方の創出
グローバル展開の強化
各国の文化に合わせたローカライズ製品の開発
多様なニーズへの対応
キダルト市場や教育分野など新市場の開拓
プラレールは2024年に発売65周年を迎え、「その想像を駆動させる」プロジェクトを展開しています。今後は環境に配慮したエコシリーズの拡充や、ARやIoT技術を活用した新しい遊び方の提案、海外市場でのさらなる展開が期待されます。また、「プラレールリアルクラス」のような大人向け製品や、STEAM教育要素を取り入れた知育玩具としての側面も強化されるでしょう。
「ハリー・ポッター」や「星のカービィ」とのコラボレーションなど、新たなIPとの連携も予定されており、「変わらない安心感」と「新しい楽しさ」を両立させながら、プラレールは未来も青いレールの上を走り続けます。
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